ウールの縮みを復元するにはどうすれば良い？

最近は、家庭で洗濯できるウールも増えていますが、実際に洗ってみたら縮んでしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
実はウールは、縮んでしまっても復元する方法があるのです。
ここでは、知っているようで知らないウールの性質や、縮んだ時の復元方法などを紹介します。

ウールの衣類が縮む原因

ウールは人間の髪の毛に似た構造をしている繊維で、見た目では分かりませんが、表面はスケールと言うウロコ状になっています。
このスケールは乾いた状態では閉じているのですが、水に濡れると開くという性質があります。
水で洗濯をすると、スケールが開いた状態になるため、繊維同士が絡まって縮んでしまうのです。

ウールを洗濯するのはNG？

最近は、家庭用洗濯機で洗えるウールもありますし、ウール専用の洗濯用洗剤もあるので自宅でウールを洗濯するという方もいるかもしれません。
ですが、自宅での洗濯を避けた方がよいウールもあります。
ここでは、ウールを洗濯することがNGなのかを解説していきます。

そもそもウールとは？

ウールはカシミヤやアンゴラなど高級な毛が有名ですが、実は特定動物の毛のことを指すのではなく、羊やうさぎなど動物繊維の総称を表しています。
ちなみに、カシミヤは山羊でアンゴラはアルパカの毛です。

もちろん、山羊やアルパカの毛も動物繊維の一種です。
いずれの毛も保湿性や弾力性に優れているのが特徴で、化学繊維と比べてとても温かく、秋から冬にかけて着用するニットやセーター、コートなどに使われる高級素材です。

ウールは家庭で洗濯できる？

結論からいうと、ウールは家庭で洗濯できるものとできないものがあります。

どんな衣類も水洗いできるもの、できないもの、漂白できるもの、できないものがあります。
素材によって洗濯方法は変わるので、ウールに限らず、家庭で洗濯をする際には洗濯表示を確認しなくてはいけません。
水洗い可のマークがついていれば、ウールであっても家庭で洗濯できますし、不可となっていれば洗濯できないので注意してください。

万が一洗濯表示が見つからない場合は、クリーニング店に出すことをおすすめします。

ウールの縮みを復元する方法

冒頭で、ウールは髪の毛に似た構造をしているとお伝えしましたが、その性質を生かすことでウールの縮みを復元することができます。
その方法とは、トリートメントもしくはリンスを使うという方法です。

トリートメントには、ウロコ状のキューティクルを守る成分が配合されています。
そのためウールの繊維をコーティングして、絡まりをほどくことで、元に戻す効果が期待できるのです。

縮みを復元する手順

洗面器にぬるま湯（約30度）を張り、500円玉ぐらいのトリートメントを入れてしっかり溶かします。
縮んだウールをネットに入れて、1の洗面器に全体を浸します。

2時間から3時間ほど浸け置きをしたら、すすぎはしないで、洗濯ネットをつけたまま脱水をしましょう。
脱水は必ず弱でおこなってください。
脱水が終わったら、形を整えて風通しの良い日陰に平干しをして半乾きさせます。
半乾き程度まで乾かしたら、元の形に戻るように優しくひっぱりながら、スチームアイロンの蒸気を当てて乾かしましょう。

トーリントメントやリンスの種類は問いませんが、アモジメチコンやジメチコンが配合されているものだと、より復元しやすくなります。

ウールの縮みを防ぐには

基本的に、洗濯表示に水洗い可のマークがついていれば、ウールでも家庭で洗濯することができます。
それでも縮んでしまった、という場合は洗濯方法や干し方が間違っている可能性があります。
縮みを防ぐには、洗濯時や干す時の正しい方法を覚えておくことが重要です。

洗濯には常温の水を使う

洗濯をする時には、20～30度ぐらいの常温の水を使うのがベストです。
この水温より低くても高くても、ウールは縮みやすい状態になってしまいます。
ウールを構成しているスケールは、冷たい水やお湯を含むと表面が逆立ってしまうため、絡み合いやすくなるのです。

お風呂のお湯は30度以上になるのでウールの洗濯には向いておらず、真冬の水道水は20度以下になることが多いので、洗面器に貯めてしばらく置いて常温に近くなってから洗濯をするようにしましょう。

風通しの良い日陰に干す

前述しましたが、ウールは必ず風通しの良い日陰に干しましょう。
秋や冬は衣類が乾きづらいので日向に干したくなりますが、直接日光に当ててしまうと、ウールに含まれている水が一気に蒸発することで繊維が縮んでしまいます。
水分が蒸発する際に、繊維が色落ちしたり変色したりする可能性があるからです。
必ず日陰もしくは室内に干すようにしてください。